ビジョン vision

これからの移動と新たな社会のあり方を、
数理の視点から構想する。

自動車産業では、「CASE (Connected-Autonomous-Shared-Electric)」や「MaaS(Mobility as a Service)」と呼ばれる技術⾰新によって、クルマの概念そのものが変わろうとしています。さらにコロナ禍で普及したテレワークやオンライン授業によって、物理的な移動だけでなく「情報が行き交うこと」もまたモビリティ(移動)の一形態であることを、私たちは再認識しました。

一方、数学・数理科学は、コンピュータの性能向上にともない、実社会のあらゆるところで応用されています。現代社会におけるすべてのモノや情報が動くシステムの根本には数理があるといっても過言ではありません。さらに数理には、「物事を抽象化し本質を捉える」という力も備わっています。GAFAに代表される世界的なIT企業はこのような「数理の力」にいち早く気づき、自社のビジネスの根幹に据えています。

クルマや移動そのものの概念が多様化してきているなか、未来のモビリティ社会の本質をつかみ、次世代の基盤をつくるうえで、数理の力は不可欠です。このような考えのもと、京都大学を中心とした世界的に活躍する数理研究者とトヨタ自動車が連携し、未来のモビリティ社会を構想するための拠点として「モビリティ基盤数理研究ユニット」は生まれ、活動しています。

概要

モビリティに関する新しい価値を創出する「モビリティ基盤数理」構築のための基盤数理の3要素等を専門分野とする情報学研究科、数理解析研究所等、京都大学の複数の部局に所属する数学・数理科学、数理工学、情報学分野の研究者が、他大学やトヨタ自動車未来創生センターに所属する共同研究者とともに、機関や部局の壁を越えて結集し、共同研究活動を実施しています。

基盤数理の3要素

  1. 情報のフローに関する大量なデータの収集と解析能力に関する数理/データサイエンス
  2. データや処理の分散性、安全性、高速性、信頼性、弾力性、低コストといった従来型ではない特徴をもつグラフ・ネットワークの制御と最適化
  3. 社会的公正性、価格の均衡、個人の行動誘因を損なうことなく実現するといった集団としてのルール決定に関するアルゴリズム

特徴

本研究ユニットは、数学・数理科学を中心とする基礎科学分野の研究者がモビリティ・カンパニーであるトヨタ自動車の研究者と産学連携を行うことが大きな特徴です。私たちは、大学の基礎科学と日本が競争優位性をもつ産業とが、理論研究と技術開発両面で支えあうという新しい産学連携を推進し、民間からの研究資金が大学に入ってくるサイクルをつくることで、結果として、基礎科学の研究基盤を安定化させたいと考えています。単に基礎研究の応用先を産業界に探すというものではなく、大学と産業界の強みをうまく組合せ、学内外の研究者ネットワークをフルに活用することで大学が新しい価値を創り出していきたいと思います。技術革新によって産業を支えてきた概念そのものが変わろうとするとき、何をすればいいかから考え、自由な発想で研究を行う大学の底力と強みがものをいいます。「卓越した知の創造を行い、自由と調和に基づく知を社会に伝える」という京都大学の基本理念とも合致します。

概要図

本研究ユニットは、分散性、安全性、高速性、弾力性、低コストといった特徴をもつネットワーク上でヒト、モノ、情報が動くスマートな未来社会の基盤となる「モビリティ数理プラットフォーム」の構築を進めます。
このプラットフォームでは、シェアリング・マッチングに関するテンソルデータを含む良質なデータを、ローカルとグローバルをつなぐグラフ・ネットワーク上で高速処理することで新たな価値を創造します。