
Team 06.
統計物理学テンソル解析
モビリティ社会で発生する膨大なデータ処理を、テンソルネットワークの概念を用いて圧倒的に効率化する。
テンソルネットワークで目指す、圧倒的なデータ計算の効率化。
近未来の自動運転車が多数公道上を走行するモビリティ社会では、各自動車に搭載されたコンピュータと中央で管理するコンピュータが、リアルタイムで状況変化に対応するため、複雑な情報処理を高速で行う必要があります。扱うデータの量と種類も現在の道路交通情報に比べて飛躍的に増大することは間違いなく、そのデータをいかに効率的に格納、計算できるかが重要となります。そこで統計物理学テンソル解析チームでは、統計物理学に用いられる「テンソルネットワーク」の概念を用いてデータを分割・圧縮することで、超効率的な計算手法の開発を目指しています。
研究概要
本チームでは、いくつかのテーマを並列で進めています。一つは、大規模なテンソルネットワークを分解するアルゴリズムの研究です。大規模なテンソルネットワークを小規模なリング状のネットワークに分解する「テンソルリング分解」という手法が数年前に提案されましたが、その手法は「初期値」に依存する傾向が強く、アルゴリズムとして不安定でした。本チームはそのデータ初期依存性を取り除くための手法を新たに開発しています。また人工知能として用いられる機械学習において、学習のパラメータを圧縮するためにテンソルネットワークを利用する研究も進めています。ロシアの数理物理学者、セルゲイ・ノビコフらが機械学習分野で発表した成果の延長線上にある研究で、テンソルネットワークを解析することで、現在の学習がどういう段階にあるか、途中の状態を理解できるようにしたいと考えています。また並行して、テンソルネットワークの幾何学的構造の最適化についても研究しています。本チームではこうした基礎的なテンソル解析手法を積み上げることで、モビリティ社会システムの数理的土台を構築したいと考えています。
参加メンバー
原田 健自 京都大学・情報学研究科
川島 直輝 東京大学・物性研究所
大久保 毅 東京大学・理学研究科
松枝 宏明 東北大学・工学研究科
阿蘇品 侑雅 京都大学・情報学研究科
真鍋 秀隆 京都大学・情報学研究科
アドバイザ
湊 真一 京都大学・情報学研究科